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理系学生であれば必ず耳にしたことのある言葉、「pH」。今回はこれについて詳しく解説していきます!
※理系の高校生向けになります。
前半戦 :pHのおさらい
pHとは酸性度の強さを表す言葉です。この値が小さければ小さいほど酸性に近づき、大きければ大きいほど塩基性(アルカリ性)に近づきます。プロトン( \(H^+\))が多ければ酸性、少なければ塩基性になりますね。
ある物質Aの濃度を[A]と表すとすると
pH 1のとき \([H^+]=10^{-1} [mol/L]\)
pH 8のとき \([H^+]=10^{-8} [mol/L]\)
であるということは習っていると思います。このようになるのはpHの定義をプロトン濃度の常用対数にマイナスを付けたものであるからですね。数式で表すと次のようになります。
$$pH=-log_{10}[H^+]$$
※これ以降常用対数の10は省略します。
このpHによる酸の強さの表し方は世間一般での説明でもよく使われますね。しかし、このpHには “物質固有の値ではない” というやっかいな欠点があります。どの酸も濃度によってpHの値は変わってしまいます。つまり、pH値によって分かるのは “その溶液の酸性度”であって“その溶液に溶けている物質の酸性度ではない”のです。
例えば、電離度aの酢酸をX [mol/L] 溶解させた水溶液のpHは?という問いに答えることはできますが、酢酸のpHは?と問われても答えることはできません。そのためpH値を聞いただけでは酸同士の強さを比較することはできないのです。
もちろん、「酢酸と塩酸はどちらが強い酸か?」と聞かれれば同じ濃度で比較することは文脈から判断して分かるので「塩酸」と答えることができます。ただし、化学をやっていると簡単にはいかないこともあるのです。
物質同士が反応するときに「どこからプロトンが抜けるか?」がそのまま「この分子のどの部分が反応するか?」の理解につながるので酸の強さ=プロトンの抜けやすさは非常に重要な指標となります。

図1: 硫酸
硫酸であれば図1のように二つのHは等価であり、どちらから\(H^+\) (プロトン)が抜けても同じですね。では次の図2の場合はどうでしょう?

図2
この場合、青と赤とピンクの3種類のプロトンがいますね。この物質のどの部分が他の分子と反応するかを知るためにはそれぞれの位置におけるプロトンの酸性度を知る必要があります。
pHは溶液中におけるプロトンの濃度を表すだけなので、pHで理解しようとしても青、赤、ピンクの酸性度の比較は不可能ですね。そこで出てくるのがpKaという概念になります。
後半戦 pKaとは
物質には固有の平衡定数Kが存在します。その中でもプロトンが外れる平衡についての平衡定数をKaと呼びます。
今回注目するのは化学平衡の中でも「酸解離平衡」と呼ばれるものになります。
$$\ce{H_2SO_4 <=> HSO_4^- + H^+}$$
この酸解離平衡を表す平衡定数は次の式で示されます。
$$\ce{Ka =\frac{[H+][SO4^- ]}{[H2SO4]}}$$
このKaは物質固有の値ですので 濃度には関係ありません。Kaの値が小さければ分母が小さい、つまり平衡は右に偏っておりプロトン濃度が高く、酸性度が高いと言えます。Kaを比較することにより酸の強さを直接比較することができるようになるのです。pKaはpHと同様に次の式で与えられます。
$$pKa = -logKa$$
例えば、先ほどの化合物のpKaがそれぞれ図3のようだったとしましょう。
※値は適当に付けただけであり正しい値ではありません。

図3
この値を比較すれば、青のプロトンが最も酸性度が高い=抜けやすい=反応に関与しやすいということが分かりますね。このようにpKaの値は化学の現場で使われています。
さいごに
少し長くなってしまいましたがpHとpKaの違いを理解していただけたでしょうか?pKaの比較はもちろん測定によることもありますが、分子の構造や構成元素からpKaの順番を推定することもできます。実際は全てのプロトンについてpKaを求めるのは難しいのでそのプロトンが抜ける順番=pKaの大きさの順番を推定しています。その推定方法についてはまた別の機会に。

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